第310回 定例会 請願に関する討論 [自民党]



私は、自由民主党議員団を代表して、今定例会に提出された請願第8号「国民の 祝日「主権回復記念日」制定に関する意見書提出の件」について、「採択」を求めて 討論します。

現在、我が国においては、8月15日の終戦記念日を「戦没者を追悼し平和を祈念 する日」として閣議決定し、毎年、政府主催の戦没者追悼式開催し、国民の黙祷を 勧奨するなど、国民の間に定着しています。
 一方、「サンフランシスコ講和条約」が発効して、アメリカをはじめとする連合国 諸国による6年8ヶ月に及んだ占領状態から解放され、独立国家として主権が回復 した日については、国際法上、各連合国による“統治状態”が正式に終了し日本人 による新たな建国が始まった日と言えるにもかかわらず、終戦記念日と比べて国民に 定着しているとは言えません。

2000年余に渡る我が国の歴史の中で、地理的に極東アジアの島国である日本は 海外から侵略されることなく、一国完結型の経済・文化を育み、限られた資源の活用 方策から知足を知り、知恵の文化を高め、勤勉にして和を重んじ、人と人の繋がりに より到達できる高みを知る世界に誇れる品格と人格を育んできました。
 駐日フランス大使を務めた詩人のポールクローデルは、大東亜戦争の帰趨のはっき りした昭和18年にパリでこう言いました。「日本は負けるだろう。日本人は貧しい。 しかし、高貴だ。世界でただ一つ、どうしても生き残ってほしい民族をあげるとしたら、 それは日本人だ」と。
 二度の大戦を経験したことへの政治的な判断やイデオロギーを様々論ずる以前に根底 の国家観として、長い日本の歴史で唯一主権を奪われていた日本が、苦難の占領期を経て、 真の意味での独立が実現した4月28日、以後、驚異的な経済成長を成し遂げて、一気に 世界第2位の経済大国に駆け上がり、日本はあらゆる面で豊かな国となりました。

しかし今また日本を取り巻く国際環境は、講和条約の発効当時に匹敵するほどの時代 の転換期の只中にあるといえます。

昨年から今年にかけ、領土をめぐって日本の主権が脅かされる事態が相次ぎました。 講和条約は、日本の領土についても規定しています。中国が尖閣諸島を、また韓国が竹島 の領有権をそれぞれ主張していますが、講和条約を読めば、日本がこれらの島々の主権を 放棄していないということは明らかです。

国家を国家たらしめる絶対条件は、主権の確立であります。この主権の尊厳、すなわち 独立を守ることこそが、国家の存在を維持するために求められる最低限の要件です。

来年、平成24年は、講和条約が発効し、日本が国際社会に復帰してから60年となる 節目の年であります。
 60年の節目にあたり、真の独立国として国家繁栄のスタートを切った日である「主権 回復記念日」を新たに「国民の祝日」として国民に打ち出すことは、その意義を広く普及し、国民生活をへの定着を図る絶好のタイミングであります。

「主権回復記念日」に過去の歴史を振り返り、現在の我が国の独立に至るまでの先人の 努力に敬意を表すると共に、主権回復後の信託統治により本土復帰まで約20年を要した 沖縄県の方々の心情や北方領土にも思いを致しつつ、改めて国の成り立ち、日本のあり方 について、すなわち日本の国民こぞって自分自身に国家観を問うことは極めて意義深いこ とであろうと思います。

現在、「4月28日を『主権回復記念日』と定め、休日とする」旨の祝日法の改正案が 国会に提出されております。この法案の成立を後押しする上でも、是非とも意見書を提出し、地方の声として伝えていくべきであります。

以上のことから、4月28日を「主権回復記念日」として国民の祝日に制定すべきで あるという請願の趣旨に賛同し、「採択」を求めます。
 議員各位におかれましては、何とぞ我が会派の主張にご賛同いただきますようお願い 申し上げ、自由民主党議員団を代表しての討論を終わります。ご清聴ありがとうござい ました。